オーガニックお茶通信

過去から見る無農薬茶の杉本園:お通信No.32 2004年11月発行

世界お茶祭り

お茶畑からこんにちは!

みなさん、こんにちは!今年も一年間、本当にありがとうございました。

お茶畑では今お茶の花が咲いています。白い花びらで真ん中が黄いかわいらしい花です。

家の畑ではパラパラと咲き始めましたが、周りのお茶畑では一面咲いている畑が多いです。

その様子を見て「昔からお茶の花を咲かせる農家はダメな農家『痩せている畑に花が咲く』と言われ、肥料をたくさん入れて花が咲かなくなる。それが良い畑だと言っていた。

しかし、今では肥料を入れすぎたために異常な咲き方をして、ナガチャコガネの幼虫を殺すために何十トンという農薬を畑に垂れ流し状態に入れている。

お茶の樹が瀕死状態で子孫を残したいために咲いている。そんな感じだな。

栽培方法が間違っているとは一切考えていない。

間違った栽培方法によって出て来た虫を害虫と決め込んで排除している。

この虫は畑にとって必要だから出て来ているのに……自分が正義で虫はテロか……どっかの世界と同じだな。」と、主人。

今年もナガチャコガネのために農薬を太いホースでドカドカと畑に垂れ流している様子と、異常咲きしている畑を見ながら、今年もまた嘆き怒っている主人です。

 

ナンカ・・・変?

静岡市のツインメッセで11/3~7まで『世界お茶祭り』がありました。

各地区の農協や大企業、大きなお茶屋さん、海外からの出店にまぎれて『自然のわ研究会』のみんなで出店しました。

そうそうたる大手の中で『自然のわ研究会』は唯一小さな農家の集まりでした。

主人は販売の他にミニステージとセミナーで有機栽培のあれこれを話させて頂きました。

今回、多くのお茶屋さんや農家の人達と話をさせて頂いて『有機』は、既に意味を持たないと言うことを改めて実感しました。

お茶屋さんによっては反って突かれる材料にもなり、足をすくわれかねないと思っているようです。

特に今年からそれが顕著に出始めています。

トレサビリティー(生産履歴を記録して追跡可能にする事)

どのような資材を使用して生産したかが記録され、農水省はこれで農産物の安全性が保証されると言っています。

実際のところ中味は全く今までと同じなんですが、これにより有機でなくても安全が確保されたとしています。

私達もそうですが、お茶屋さんも『有機』の製造をするところでは毎年、多額のお金を払って認証を取ります。

トレサビリティーが言われるようになり、こんなにお金を掛けなくても、下手な『有機』を扱ってお店の信用を無くすことなく安全な?お茶というレッテルを頂けるのです。

トレサビリティーは“安全”“安心”という錯覚を起こさせるだけの事であって、出来上がったものは農薬、化学肥料漬けに代わりはないのです。

もう『無農薬・有機』は安全のために販売するイメージとしては必要ではないようです。

 

世界お茶祭りのひとこま

11月3日の初日はお休みとあってお客さんも多かったです。

仲間である増田さんのお姉ちゃん達が茶娘になってお手伝いに来てくれました。

かわいい茶娘さんのおかげで地元の静岡新聞のカメラマンが立ち止まって撮っていました。

カメラマンのオジさんが私の所に来て「そこのパンを持っているオバさん!パンで人集めしてよ。この子達がお茶をあげているところを撮りたいから!」

「うん……?おばさん!?」

と思いつつも「はい、はい、私は背中だけですね。」と、カメラマンのオジさんの言う通りに流れてくるお客さんに群馬のパン屋さん、『湧然』さんに作って頂いたお茶パンの試食用を渡していました。

結構忙しい中、何度も何度も注文通りにやらされて撮影しました。

『かわいい娘っ子のためだからオバさんはなんでもやりますよ……』

……と、思っていたら翌朝の静岡新聞第一面、ブッシュ大統領の隣世界お茶祭りの記事の横に私が……かわいい娘達は私の影で見えていませんでした。

さらに、静岡新聞1面下部のコラム欄「大自在」にも私達のことが書かれてチョット有名になりました。

ついでに……主人のミニステージやセミナーを聞いて下さったみなさんからは『自己主張の強い有機の話』という感想で結構好評のようでした(笑)

後から、県のお茶室の方が「杉本さんの話をステージの横で農水省の人がずっと聞いていましたよ。」と教えてくれました。

「エッ……!?」いつも通信に書いているような『有機の認証』についての農水省批判を、し・っ・か・り・と話していたのに……タラ~(^^;

それを聞いた主人は「それはちょうどよかった。」と満足そうでした。

次回は12/9,10,11 東京ビックサイト『エコプロダクツ2004に出ます。

 

『有機』と、ひと口に言っても……

お茶の業界紙「茶」に有機についての記事が載っていました。

静岡の春野町で有機栽培をしていると言う記事です。

春野町は山間地区です。

作業が大変で高齢化もしているために慣行栽培が難しく、農薬を掛けるのも大変なので有機栽培が適していると書いてありました。

また、野菜茶業試験場で「茶の消費拡大の為の安全・安心な茶生産・流通技術開発の現状と展望」という講演会がありました。

岐阜県で大きく有機をやっている組合の代表の話は、有機でありながら如何に慣行に近い品質と量を確保するかというものでした。

最新型の乗用茶刈り機、肥料管理のECセンサーなど各種を導入し作業を楽に効率よくしているそうです。

虫に対しても害虫という認識の基『どう退治するか。早期の栽培技術の開発が望まれる。』と終わっていました。

どちらも有機の安全なお茶でしょうが、余りにも主人の感じている事とかけ離れていて……

家にいらした農水省の方が「農水省での有機とは慣行農業、減肥減農薬よりもっと高い最高レベルの安全性なんです。いわゆる慣行農業の延長線上から見たものです。杉本さんの言われる有機は自然側から見ている安全性ですよね。」と仰いました。

その話を聞いて、なるほど!その通りだ!って思いました。

主人の考えは“自然との調和”が一番大切で、“害虫”や“退治”等の考えは全くありません。

調和が取れれば整ってくる。必要なものが必要な時にいるだけと言ったところです。

 

長男のちょっとした解説と補足

当時、有機やオーガニックという言葉はみんなに浸透してきていましたが、生産者や販売者からは反って厄介者扱いにされている状態でした。

今では世界で抹茶ブームが起こっていて『有機栽培の抹茶は無いか!?』と良く聞かれるようになりました。

結局需要があればコロッと変わるみたいです。

まぁ今はあくまで抹茶であり、煎茶の需要ではありませんけどね。

有機の考え方も家の考える有機は最初から”自然栽培”に近い考え方をしていました。

ですが普通の有機農家さんは慣行の延長線上の方がとても多く、『それでは利益が出ない』という考えが一般的のようです。

 

ここまで読んで頂きありがとうございました!次回のNo.33もご期待下さい!