オーガニックお茶通信

過去から見る無農薬茶の杉本園:お通信No.21 2001年4月発行

大量の山草 茶草場農法

お茶畑からこんにちは!

みなさんこんにちは!

冬には真っ白く見えていた富士山も春霞で見えなくなりました。

お茶の新芽は日に日に膨らんできています。もうすぐ畑は萌黄色!

今年も新茶の時期を迎えます。

 

冬の間はこんな仕事をしていました。

冬の畑仕事は草取りをして、堆肥種粕魚粕ぼかし肥を畑に入れ、それらを機械で土の中へ混ぜ込みます。

その後、秋に刈って干しておいた山草や、田んぼのワラを畑に敷きます。

春先まで掛かって、このように土作りを行っています。

冬でも畑の中は柔らかな草がすぐに生えるので、畑中を歩き手で取ります。

昨年、堆肥運びで大怪我をしたのに懲りない主人は、今年も北海道から取り寄せた牧草だけで育てている子牛の堆肥を山ほど運びました。

その堆肥は袋に詰めかえて畑中に入れました。

周りの茶農家では冬はほとんど草が生えません。

化学肥料をパパッと振り、山草やワラは敷いたりして冬の間は夫婦そろってバイトに出掛ける人が多いです。

お爺ちゃんは、「無農薬にしてから畑仕事もオレの若い頃に戻ったようだ。今の世の中、こんな手の掛かる畑仕事は誰もしていないぞ。」と、ぼやいています。

主人はいつも通り「みんな機械化だの合理的だの言って汗を流すことを忘れている。こうやって体を動かし冬でも汗を流して働く。これが農業だ!」と、一人!満足そうです。

そして、そんな周りに「みんなもったないナ-。こんなに土作りの大切な時期なに……。」と、主人。

「みんなはイイナ-。畑をチョコチョコっとやって小遣いも稼げて……」と、お爺ちゃん。

相変わらず価値観の違いというものは……アハハッ……(^0^;

 

”自然のわ” 研究会を発足             

4月1日から法制化された有機の認証については、テレビでも取り上げられてご存じの方も多いと思います。

有機栽培などの『有機』を使った農産物は、国の基準を通った物にしか付けてはいけない。

守らなければ罰せられる。と、言うモノです。

この基準というものは掛けても良い農薬があり、私達から見ればとても曖昧な基準です。

何十万円と掛かる検査費用や検査官の交通費、宿泊費など全部農家持ちです。

周りを見ても地道に無農薬栽培をしている方は、リスクの方が大きく苦しい経営状態です。

そんな中、これだけ大きなお金を毎年負担していくのは容易なことではありません。

主人はこの話には乗るつもりはありませんでした。

しかし、販売の半分以上は、お茶問屋さんを通して販売している状態です。

我が家は問屋さんとも相談をして、有機の認証を取ることにしました。

しかし、費用面で大変なため、主人は本当に信頼している仲間達とグループを作って負担し合うことにしました。

私達はこの認証を決して錦の御旗にするつもりはありませんし、現実問題、無農薬だからと言って高く売れるわけでもありません。

乗れない点は多いけれど、これを取ることにより”一般のお茶とは混ぜられないで”消費者の元へ届く可能性は高くなります。

 

<<メンバーは4人。>>

海草エキスの液肥を使い、自然栽培を目指す主人の同級生「北川さん」

自家製ぼかし肥と畑の草を肥料にする、私と同じ日に生まれた「増田さん」

水を掛けてお茶の木を洗い流すお隣、掛川市の「角皆さん」

そして、主人の4人です。

今までお互い別々にやっていたので、仲間として集えてとても心強いです。

 

インターネットのやりとりから・・・           

『お茶畑からこんにちは!管理人様初めまして。

YAHOO!からページを拝見させていただきました原田と申します。

この度はお願いがありましてメールを出させていただきました!

私は今、中学生なのですが学校の勉強で農業に関するテーマを決めて各自で調べるレポートを作っています。

私は農業と肥料の関係について調べています。そこで教えていただきたいことがあります。

無農薬、無化学肥料でお茶栽培なさっている事に関してのお考えを是非お聞きしたいです。

お忙しいところ大変申し訳ありませんが、是非お返事をいただきたいです。

よろしくお願いします。 原田 』

 

『明けましておめでとうございます。お便りありがとうございます。

「無農薬茶への考え」にも書きましたが、農作物も自然の流れー循環ーの中にありました。

農作物は人間の為に栽培していますが、畑には栽培している植物だけでなく、色々な昆虫や鳥や獣がいますし、土の中にも小動物や微生物がいっぱい居ます。

そして、その生物たちがお互いに助け合い影響しあって生きています。

近代農業は農業の生産性を上げるために化学肥料を大量に使用しています。

化学肥料を入れるとミミズなどは、すぐに死んでしまいます。

また有機肥料はミミズや微生物の餌となって土が賑やかになりますが、化学肥料は餌にはなりません。

栽培技術の研究により、その作物の成長に必要な栄養のみが肥料として施され、そこに住む他の生物は無視されます。

その結果、その畑の生態系は破壊され、病気や一部の昆虫が大発生して農薬が大量に投入されます。

人間の身体も同じように、たくさんの生命で成り立っています。

胃や腸の中には色々な微生物がたくさんいて、食べた物を消化してくれたり、人の身体と様々なやりとりをしています。

現代医学や栄養学は人間だけを研究しているので、人が必要な成分だけで対応します。

必要な成分を点滴で血管に送れば良いという感覚です。

でも本当は体中の多くの生物とやり取りをして生かされているのです。

もっと食物繊維が多い食物や、玄米などのビタミン豊富な食物、自然栽培のお茶などで身体全体を健康にすれば、病気もかなり少なくなると思います。

農薬が怖くて始めた無農薬、無化学肥料栽培ですが、お茶畑の自然の流れを見ていると人間の身勝手さ、自然の力の偉大さを感じます。

害虫も益虫もありません。それぞれが自然の中で重要な役割を持っています。

化学肥料を入れたり、特定の虫を退治するとバランスが狂って、様々な害が出てきます。

それに対しても農薬で対応するので、更にバランスが狂ってしまいます。

我が家は茶畑が多くの微生物や小動物で活性化する様に、堆肥やぼかし肥をやっています。

その植物に必要な物だけをやるのではありません。

きっと、人間社会も同じように色々な考えの人達が大勢いる方が、特定の考えや価値観の人だけが集まっているより、活力があり健全ではないでしょうか?

ダラダラと取り留めもなく書いてしまい、質問に答えられたか心配ですが、何かの参考にしてもらえれば幸いです。

私にも中1と中3の息子がいますので、原田君も私の子供のような気がします。

これからもよろしくお付き合い下さい。』

 

 

長男のちょっとした解説と補足

この頃から有機JAS認証が始まりました。

今でもみんな仲良く、それでいてお互い考え方が違うので自分達の考えの基、オーガニックでお茶栽培をしています。

この頃はまだ家のことに深く関わっていなかったので覚えていませんが、堆肥などはやっていたみたいですね。

これから堆肥を止め、ぼかし肥を止め、段々と現在の農法へと変わっていきます。

一つひとつの積み重ねが今の杉本園を作っていると思うと、凄いなぁと思います。

最初の写真は大量の山草を機械で粉砕したところです。

これを大量に敷き込むこで土作りをしていました。今で言う茶草場農法になります。

茶畑の冬の保温にもなり、微生物の住処ともなる大切な草です。

土が良くなると直ぐに分解して、新茶の頃には無くなっていましたけどね。

 

ここまで読んで頂きありがとうございました!次回のNo.22もご期待下さい!