オーガニックお茶通信

過去から見る無農薬茶の杉本園:お通信No.15 1999年5月発行

無農薬の新茶収穫

お茶畑からこんにちは!

今年の新茶は…

「今年はいいお茶がとれて、品質的には申し分がない。」

新茶が終わってフッとつぶやいた主人の一言です。

今年は例年とは違い、お茶の収穫量がとても少ない年でした。

どこのお茶やさんもお茶探しに走り回っているそうです。

どこからともなく聞く話は、収穫量が例年の5~7割あればいい方だと言っていました。

我が家もお茶の伸びがとても遅く「気候のせいかナ-。」と首をかしげていました。

周りが終わりかけた頃に、やっと家のお茶刈りが始まりました。

やはり収穫量はとても少なかったです。

しかし、お茶の新芽は瑞々しく弾力があり、日数は経っても良い新芽が何日も続きました。

揉んで製品にしても主人の思ったとおりの良い出来に満足そうでした。

いつもの年は、昼間お茶を刈って明け方まで掛けてお茶を揉みます。

その日のうちに製品にしなければ葉が痛むためです。

2,3時間睡眠をとり、朝一番に出来上がったお茶を問屋さんに置きに行きます。

寝る時間がとれないときはトラックの荷台でちょっと横になるだけの日もあります。

そんな状態が2週間くらい続きます。

お茶の芽が大きくなりすぎないように、お茶の芽とお茶刈りの競争でした。

でも、今年は違いました。

新芽の伸びはゆっくりで良い葉の状態が続き、量も少ないため、忙しくて大変な時期は一週間ほどでした。

そのため主人の体もいつになく楽で、お茶の出来も良かったので気分も良く、疲れもそんなに感じなかったようです。

こんな年には、余計にお茶作りは人間のペースではない。

お茶の木の、自然界のペースで行かなければと感じさせられます。

 

お茶の香り、勘違いしていませんか?

今、世の中に出回っている物の香りをどのように感じていますか?

「香り」と言うよりは「臭い」と言うくらいに刺激が強いものが多いように思います。

その物の持っている香りだけでは物足りなく、わざわざ香り付けをしています。

そんな中では、お茶は香りが少なく感じられるのではないかと思います。 

揉んだばかりのお茶は青っぽい生葉のような香りがあります。

そんなお茶が好きな方もいらして「荒茶仕立て」として売られています。

また逆に、その地域やお茶屋さんによって、お茶の香りを出すために「火入れ」と言って、揉んだお茶に改めて火を強めに入れて、お茶の香ばしさ出して売っている所も多いです。

その為、この香ばしさを「お茶の香り」とはこれだと思われている方も多いようです。

これは好きずきと言ってはそれまでなのでしょうが、私達はお茶の香りって優しくて、柔らかくて、決して「お茶だ!」という押しつけるような感じはないように思います。

家のお茶の「火入れ」はそれほど強くはありません。

揉み方も「深蒸し」といって、渋みが少なく、色が良く出る、味重視の揉み方です。

「普通蒸し」のお茶の方が香りがあるとも言われています。

値段が高いお茶ほど口に含んだ時、甘みがあり優しい香りが口から鼻に身体全体にふわーっと広がっていきます。

(食事と一緒だとこの香りは負けてしまうかも…)

お茶の入れ方によっても違います。

生活に追われる毎日ですが、ちょっと時間を作ってゆったりとお茶を飲んでみて下さい。

特に新茶は青みのある新鮮な味わいがあります。山々や木々の自然の香りがしませんか?

また、番茶やほうじ茶はしっかり火を入れる為、芳ばしい香りが命です。

それぞれの用途に合わせ、それぞれの香りも楽しんでみて下さい。

 

主人の感じたこと PART2

畑に入れた山草はどこへ行った?? 99.1

茶畑の畝間には毎年たくさんの山草やワラを敷き詰めます。

また、整枝といって数年に一度の割合で、葉っぱから枝まで切り落としてしまいます。

そのような有機物が畝間に堆積して、これは一昨年のわら、これは去年の切り落とした枝、これは今年の敷き詰めた山草などのように層になっています。

でも5年たった去年は、春先に厚手の絨毯のように敷き詰めた山草が、夏までには無くなってしまいました。

土がむき出しで、雑草が生えやすくなってしまいました。

その代わり、土の中にはミミズがいっぱいいます。

有機物の分解が速くなり過ぎたようです?

 

茶畑は穴だらけ!!土も穴だらけ?? 99.1

周りを山に囲まれた茶畑から始まった無農薬栽培。

1,2年後から牧ノ原台地で、周りを余所の茶畑で囲まれてる場所でも始めました。

最初は家の畑が害虫の発生地となって、周りの茶畑に迷惑が掛かるのではないか?と心配しましたが、むしろ逆に周りのお茶畑から虫が避難してきたように思われます。

よく見ていると虫は平均的に広がっていくのでなく、特定の場所に留まっています。

追い払ってもまた戻ってきます。その木がその枝が好きなようです。

昨年、牧之原の茶の木は新茶の摘採後に台切り(深く整枝する)した後、しばらく芽が吹いてきませんでした。

でも昨年は正月からずっと雨が多くて、5~7月と葉っぱが無くなって剥き出しの枝が雨と太陽を充分に浴びたので貝殻虫がすっかり消滅してしまいました。

今、牧之原の茶畑は穴だらけで見窄らしくなっていますが、土はフカフカになって、モグラの穴がいっぱいあり、排水がよくなって根っこが地中深く張ってきていると思います。

きっと今年は良い芽がいっぱい出てくるのでは?と期待しています。

 

茶畑がにぎやかになった!! 99.1

クワシロカイガラムシの大発生は、小さな蜘蛛やテントウ虫などを増やしました。

シャイクトリムシの大発生はカマキリや蜂、更に山鳥やカラスを呼んだようです。

茶の木の中にキジの巣があちこちにあり、農作業の時に突然飛び立つのでビックリします。

本当はキジの方がビックリしたのでしょうけど……。

また、狸の糞が畑の中にあるので、周りの山から色々な動物達が集まって来たと思います。

餌=害虫?、ミミズ、キジの卵、とにかく賑やかになりました。

 

突然、『食べもの文化』の編集部から6月号が送られてきました。

「あれー、私なんにも送ってないのにー?」と、中を開けると載っていました。

『読者の十字路』にナゼカ?よく見ると通信から拾い出して頂いたようです。

編集部の高野さんが家のお茶を気に留めて下さったので、ちゃっかりと通信を送りました。

主人曰く「これはサヅさん(伊藤先生)が後ろで糸を引いているな。」と笑っていました。

お電話を頂いた時に伺ったところ笑いながら「そうよ。このように生産性のある物を載せなさいよ。と高野さんに言っといたわ。編集長にもお茶を紹介しといたわよ。高野さんは副編集長よ。」と、あっけらかんと……

「えー!!! 編集長!、副編集長!ちょ、ちょっとまってくださいーイ…(オタオタ)」と言うわけで、またしても『食べもの文化』に新茶の案内を載せて頂きました。

ラッキー!伊藤先生ありがとうございます。

 

 

長男のちょっとした解説と補足

自然相手なので、寒くて新芽の伸びが遅い年もあります。

今年(2018年)は、夏の猛暑で二番茶はもちろん、雑草もあまり伸びませんでした。

蚊も秋になって急に大量発生してきましたしね……(^^;

暑すぎても、寒すぎても芽は伸びないので、面白いなぁと思いました。

あ、肥料を入れると割と強制的に伸びるらしいです。家は無肥料なので伸びませんでした。

 

ここまで読んで頂きありがとうございました!次回のNo.16もご期待下さい!