オーガニックお茶通信

過去から見る無農薬茶の杉本園:お通信No.05 1997年4月発行

4月の新茶前の風景です。

お茶畑からこんにちは!

新茶の芽もだいぶ大きくなってきました。

辺り一面もえぎ色の絨毯を敷き詰めたようです。今はお茶畑が輝いています。

今年は温かくて、このまま順調に行けば、例年より早くお茶刈りが始まりそうです。

でも、この時期とても心配なのが霜です。

霜に当たると新芽が痛んで不揃いになってしまいます。

品質の低下となり、お茶刈りも遅れます。

この時期は霜の害から新芽を守るために”防霜ファン”が毎夜回っています。

防霜ファンは、お茶畑の所々に鉄柱を立て、その上に大きな扇風機がついています。

夜中から明け方、急に寒くなって放射冷却で霜がおります。

防霜ファンが回っていると、上空の温かい空気を下に送り霜を防ぎます。

 

今はこんな畑仕事をしています。

周りの人は「芽出し」といって芽が早く伸びるように硫安などの化学肥料を振っています。

私達は主人の配合した有機肥料とEMぼかしを振ってからかき混ぜています。

畑の3分の2は傾斜地です。上から下が、下から上が見えないくらいに急な畑もあります。

30メートルほどの区間にお茶の木が100本ほど連なっています。

私はあまりにも急なために機械が使えないので、リュックサックのような袋に肥料を入れて背負います。

袋の横にパイプがついていて、それを振りながら撒いていきます。

肥料が無くなり、畑の上か下まで肥料を取りに行くと“大変”親切な主人は、丁度一緒に終わったかのように待っていてくれて、スグに肥料を袋に入れてくれます。

全く!休む暇もありません!

(……と言っても、ほとんどは主人が撒いてくれるので、文句は言えませんが……)

お茶刈りの二週間くらい前から農薬の規制が始まります。

私達は木酢入りのEMストチュウを散布しますが、一般には3月にダニ、4月にアブラムシなどの農薬を散布します。

今の時期、とても気持ちがいいので、子供達が休みの日には、なるべく一緒に畑に出かけようと思っています。

周りの山から杉の葉が、お茶の上に舞ってきているので、それを取ってもらっています。

しかし、気が付いた時には子供達はワラビ取りに変わっていました。

あさつゆは芽の出が早いために霜に当たりやすく、白い網状のビニールシートでお茶の木を覆います。

強い風でシートがめくれるので、それも子供達に手伝ってもらって直しました。

 

ワァ―イ!!やっと会えた森川さん 

「自然食通信」第一号のお客さん、岡部町の森川さんのところへ行って来ました。

森川さんは古い民家を改造して、食材に気を付けた『割烹料理のお店』をやっていらっしゃいます。

アグリレデイース(農業を考えるお母さんの会)の仲間である永井さんも同じ岡部町です。

偶然に森川さんとお知り合いになり「話をしていたら、杉本さんの話がでたよ。」と連絡をくれました。

私は以前から森川さんにお会いしたかったので、永井さんに連れていって頂きました。

とてもステキなお宅で、コーヒーが飲めない私でも、旦那様に入れて頂いたコーヒーは違和感無く「美味しい!」とおかわりをしてしまいました。

とても心地よくて、温かくて、ここだけ他とは違う時間が流れて、違う空間に居るのでは?とさえ思えました。

森川さんとのお話も楽しくて、永井さんと三人で時間を忘れて話し込んでしまいました。

忙しくなる前、ほんのひとときのリフレッシュタイムでした。

 

農林事務所主催の「ふるさと自慢おやつ大会」に出展

村おこし的な考えで、地元のものを使った地場産品を開発しようという企画です。

実行委員の一人になっていたので、パウダー茶(微粉末茶)を使って何か出来ないかな?って悩んでいたら、丁度アグリレデイースの中野さんがパウダー茶を使って、次のようなモノを作ってきてくれました。   

「お茶イチゴ大福」:周りのお餅にお茶を入れたもの

「お茶ボーロ」:卵ボーロにお茶を入れたもの

「茶っころ」:卵の白身にお茶を入れてメレンゲ状にし、絞り出して焼いたもの

美味しかったので「これ出して!」と頼んだら、二人の名前で出展する事になりました。

ナゼ?

当日は個人参加、グループ参加併せて80名くらいで、37点出展されました。

そうしたら人気投票で、2位、3位、4位と全部入賞してしまい、2位だけもらいました!

更に審査委員特別賞にも「お茶ボーロ」が入りました。

お菓子は全て中野さんが作ってくれました。

私がやった事は、苺を買いに行って中野さんに渡した事と、一番大切な?賞状を貰いに前に出た事だけでした。

中野さんのおかげで、パウダー茶が地元でも日の目を見る事ができました。

 

勝手にお便り紹介

前回「皆さんのご紹介で広がっていくことが、とても嬉しいです」と書かせて頂きました。

広島の安井さんから「出来ます事は、お手伝いさせて頂きたい気持ちでおります。……残念なことに書かれてあるような集まりは、ここではないのです。」と、お葉書を頂きました。

お電話やお葉書では、いつも温かいお言葉を頂いてます。

海外に行かれた息子さんにも飲んで頂き、その上このようにおっしゃってくださって、本当にありがとうございます。

こんなに気を使わせてしまい申し訳ございません。

お茶を気に入って頂けるだけで十分ですから、本当にありがとうございます。

 

私達をいつも応援してくれている、「赤城爽苑」さん

初めて私達のお茶を扱って頂いたお店です。

群馬県の赤城山麓で、ご自分が大病を食べ物に気を付ける事によって治されたご経験をお持ちの方です。

それを生かして和風レストランのお店を開いていらっしゃいます。

「古代食」と銘うって雑穀米を中心に、ご自分で探し出されたこだわりの食材を使われています。

とても静かな処です。小鳥の鳴き声、葉っぱのふれあう音、爽やかな雰囲気と透明感を感じさせてくれます。

このステキなところに、昨年の夏には子連れで「ワイワイ」とおじゃまして、二回ほどご馳走になってしまいました。

子供達からは「お母さん、おばさんの処に修行に行きなよ~」と言われる始末です。

なんか場違いなのでは……?という感じの私達でしたが、とてもご親切にして頂きました。

私達のお茶も「えっ!これが家のお茶なの?!」って驚くほど美味しく淹れて頂きました。

アトピー子用のおやつに作られているクッキーにも、パウダー茶を使って下さっています。

パウダー茶を使ったお料理を教えて頂いたので、序々にこの通信でご紹介させていただこうと思います。

その1<茶めし

白米をよく研ぎ、ザルに入れて水を切ります。米と同量の水を用意します。

水をカップ1に対して、パウダー茶を小さじ1杯を入れてかき混ぜ、緑茶にします。

米と緑茶を炊飯器に入れ、最後に塩少々を入れて炊きます。

 

杉本園のお茶「商品説明」

「やぶきた」

一番多く作られている標準的な品種です。

比較的に病気に強く広範囲で栽培可能で収量も多いお茶です。

葉っぱは長だ円形で大きく光沢のある緑色です。

「さやまかおり」

やぶきたよりも少し早く刈り取りのできる早生品種です。

耐寒性に強く、回復力もあり、比較的に作りやすい品種です。

名前でわかるように、狭山で育成された香りの強いお茶です。

一般的には、やぶきたに混ぜて使われることが多いそうです。

「ほうじ茶」

秋冬番茶(10月収穫)を強火で茶色に変色するまで煎ったお茶です。

製品は大きくガサガサしていて焙じた香りとスッキリした味わいが特徴です。

近くのお茶屋さんで焙じてもらってます。

番茶やほうじ茶はカフェインが少なく子供やお年寄りにも良いです。

「パウダー茶」

普通煎茶のやぶきた茶の葉、茎、芽などを全て”微粉末状”にしたお茶です。

普通に飲んでいたのでは取れない栄養や食物繊維なども全て頂けます。

微粉末状にするとき温度が上がり品質が変わらないように、クーラーを使いながら4,5時間かけてゆっくりと機械で粉にしていきます。

使い道もお料理やお菓子作りなど色々とご利用できます。

 

抹茶、粉末茶、粉茶の違い

抹茶は碾茶(てんちゃ)から作られています。

碾茶は普通の煎茶とは違い、お茶の木に棚を付け覆いをして太陽の光を遮断し、葉を柔らかな状態に栽培します。

製造方法も違い、粉にする時は石臼にかけて粉にします。

粉末茶(パウダー茶)は出来上がった普通の煎茶を専用機械で粉にします。

抹茶よりも淡い緑色になります。

粉茶は普通煎茶の形を揃えるときにふるい分けられた粉の部分で、製造時に新芽の柔らかい部分が粉れたお茶です。

水に溶ける抹茶や粉末茶とは違い、急須で淹れるお茶です。

 

一番茶と二番茶の違い

一番茶(新茶)は4月下旬から5月上旬に刈ったお茶です。

味はまろやかで、甘さもあり、渋みが少ないです。

成分的にもテアニン(旨味)が二番茶より多いそうです。

このテアニンは旨味成分としてではなく、優れた精神安定作用があり、お茶以外にサザンカとキノコの一種にだけ知られるそうです。

先日、静岡県立大学の小國伊太郎先生の講演会の時、注目されているのがこのテアニンだと伺いました。

二番茶(夏茶)は6月下旬から7月上旬に刈ったお茶です。一番茶よりも渋みが強いです。

近頃“O―157にお茶が効く”と言われるのは、カテキン(渋味)に効果があるそうです。

抗酸化作用、抗ガン作用など数々あるお茶の効能も、このカテキンによる作用だそうです。カテキンは一番茶より二番茶の方が多いのです。

また、カフェインについても、コーヒーのカフェインは直ぐに身体へと吸収されるけれど、お茶のカフェインはゆっくり吸収されます。

コーヒーにはない多くの成分により、有害性がかなり押さえられるというお話でした。

気になるようでしたら、ほうじ茶や番茶はそれらの成分が少なくて良いそうです。 

 

現在のお茶について

現在、お茶は早ければ値段が高くて良い物とされています。

でも、私達は一番茶には一番茶の良さが、二番茶には二番茶の良さがあると思っています。

主人の勝手な解釈ですが、一番茶と二番茶のブレンドがバランス的に一番良いのでは?とこの頃感じているようです。

同じように普通煎茶にも、パウダー茶にも、ほうじ茶にも、それぞれの良さがあると思っています。

現在は希少価値ばかり騒がれていますが、本当に目を向けていく必要のある所は目新しさや物珍しさではないし、それによって生まれた希少価値でも高級品感覚でもないと思います。

値段を気にしないで、お茶本来の持っている数々の良さの中で、ご自分の好きな物をお選び頂けたらと思います。

無農薬・無化学肥料栽培を初めてから、出来上がった製品が毎年違います。

果たして今年はどんな製品が出来上がるのか少し不安ですが楽しみです。

私達には4人の男の子がいます。

この子達に安心して飲ませる事のできるお茶を作り、皆様にお届けしたいと思います。  

今年も皆さんに励まされ、温かく見守って頂きながら、新茶時期を迎える事が出来ました。

本当にありがとうございました。私達のお茶は化学肥料などで、無理に成長を早めません。

お茶の木の自然な成長を待っています。

そのために一般に出回っている新茶よりも少し遅くなります。

少々待って頂くことになりますが、宜しくお願い致します。

 

 

長男のちょっとした解説と補足

97年の新茶前に書いたお茶通信です。

この頃は新茶前に新芽を伸ばすため”芽出し肥料”を入れています。

現在の自然栽培と比べると、新芽の発芽時期は一緒ですが、その後の新芽の伸びが肥料を入れてるかどうかで変わります。

肥料を入れると新芽はグンッと伸びますが、直ぐに硬化してしまいます。

自然栽培ではゆっくりと伸びますが、大きく成長しても柔らかな芽を収穫できます。

 

ここまで読んで頂きありがとうございました!次回のNo.06もご期待下さい!